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離婚とお金離婚の基礎知識

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◆年金分割について◆

1、年金分割について

年金分割とは、厚生年金や共済保険について、保険料納付実績を分割し、離婚した夫婦に公平に年金を支給しようとする制度です。

2、公的年金について

年金分割について詳しく説明する前に、まず公的年金にどのような種類があり、どのような構造になっているかをご説明いたします。

1、公的年金

公的年金公的年金公的年金とは、政府が保険者となり、国民が被保険者として実施している年金をいいます。公的年金には、以下のような種類があり、3階建ての構造になっています。
ア 国民年金
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人を被保険者とし、基礎年金としてすべての国民が加入する年金です。1階部分にあたります。
イ 厚生年金・共済年金
会社員等が加入する年金(厚生年金)と、公務員等が加入する年金(共済年金)です。
(※法改正によって、今後厚生年金に一元化される予定です)いずれも、国民年金(基礎年金)に上積みする2階部分にあたります。
ウ 国民年金基金・厚生年金基金
国民年金基金は、国民年金にしか加入できない自営業者などが、年金額を増加させたい場合に任意で加入する基金です。厚生年金基金は、会社員等のために、年金額を増加させるために設立された基金です。いずれも、国民年金や厚生年金に上積みする3階部分にあたります。
※厚生年金基金については見直しがなされる予定です。
エ その他
その他にも、確定給付企業年金、適格退職年金、確定拠出年金などがありますが、いずれも3階部分にあたります。

2、被保険者の種類

公的年金の被保険者には、以下の種類があります。
ア 第1号被保険者
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人であって、厚生年金または共済組合に加入しておらず、かつ厚生年金または共済組合加入者に扶養されていない人が該当します。
イ 第2号被保険者
厚生年金保険の被保険者、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の組合員、及び日本私立学校振興・共済事業団年金の加入者が該当します。
ウ 第3号被保険者
第2号被保険者の被扶養配偶者であって、20歳以上60歳未満の人が該当します。第2号被保険者の配偶者であっても、一定額以上の収入があるなど被扶養配偶者でない場合は、第1号被保険者になります。

3、標準報酬

厚生年金保険や共済年金では、「標準報酬」というものを基礎にして保険料や年金額を計算しています。
「標準報酬」というのは、報酬月額・賞与額を一定の幅で区分して定めた仮の報酬月額・賞与額をいいます。
本来であれば、各人の実際の毎月の給与額、賞与額を基に保険料や年金額を計算すべきですが、各人の給与体系等は様々ですので、そのまま使用することは事務的に大変煩雑となってしまいます。
そこで、「標準報酬」というものを使って、保険料や年金額を定めています。

3、年金制度の趣旨

上記のように、厚生年金や共済年金では、被保険者の「標準報酬」を基礎として、年金額を計算しますが、離婚した場合、就労期間がない等の事情がある配偶者は十分な年金給付を受けられないという問題が生じていました。
しかし、婚姻期間中における一方配偶者の収入には、他方配偶者の貢献が認められる以上、この貢献を年金額にも反映させる必要があります。
そこで、平成16年の法律改正により、離婚時に保険料納付実績を分割する離婚時年金分割制度が導入されました。

4、分割対象となる年金

年金分割の対象となる年金は、厚生年金及び共済年金、つまり上記で説明した2階部分になります。
国民年金(1階部分)や国民年金基金等の3階部分は、年金分割の対象とはなりません。

5、年金分割制度の種類

年金分割制度には、合意分割と3号分割の2種類があります。

1、合意分割

当事者双方の合意又は裁判手続により分割割合(按分割合)を定めることによって、婚姻期間中の保険料納付実績を分割割合(按分割合)の限度を最大2分の1として分割するものです。

2、3号分割

平成20年4月以降に第3号被保険者であった期間(特定期間)について、他方配偶者の保険料納付実績を合意や裁判手続を経ることなく2分の1で分割できるものです。

6、合意分割手続きについて

1、

合意分割を行うには、まず分割割合(按分割合)を定める必要があります。
分割割合(按分割合)を定める方法には、以下のものがあります。
ア 協議
分割割合(按分割合)については、当事者の協議によって定めることが出来ます。この場合、公正証書または公証人の認証を受けた私署証書を作成する必要があります。
イ 裁判手続
当事者の協議によって分割割合(按分割合)を定めることが出来なかったときは、家庭裁判所によって定めることが出来ます。家庭裁判所における手続としては、調停・審判・訴訟があります。訴訟については、離婚訴訟の付帯申立として行います。

2、厚生労働大臣に対する標準報酬改定請求

分割割合(按分割合)を定めたら、厚生労働大臣に対して標準報酬改定請求を行う必要があります。所定の請求書に必要事項を記載の上、所定の書類を添付して年金事務所に提出します。

3、請求期限

標準報酬改定請求は、原則として、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内に行う必要があります。ただし、期間経過前に審判等を申立てた場合には、審判確定日等の翌日から起算して1か月を経過した日が請求の期限となります。

7、3号分割手続きについて

1、

3号分割を行う場合には、上記のとおり、分割割合(按分割合)に関する合意等は不要です。したがって、すぐに標準報酬改定請求をすることができます。具体的には、所定の請求書に必要事項を記載の上、所定の書類を添付して年金事務所に提出します。

2、請求期限

標準報酬改定請求は、原則として、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内に行う必要があります。ただし、厚生年金法施行規則に例外が定められています。