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離婚と子ども離婚の基礎知識

子ども離婚と子ども

◆親権者・監護権者について◆

1、親権について

親権とは、親が未成年の子に対して有する保育・監護・教育などの権利義務の総称です。
未成年の子がいる夫婦が、協議離婚するときは、その協議で父母の一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。
未成年の子がいる夫婦が、裁判離婚するときは、裁判所が父母の一方を親権者と定めます(民法819条2項)。

2、親権の内容について

親権の内容は、大きく分けて、子の養育・監護に関する権利義務である「身上監護権」と、子の財産に関する権利義務である「財産管理権」の二つに分かれます。

身上監護権の内容

 居所指定権
  親権者は、子の居所を指定できます
 懲戒権
  親権者は、監護教育に必要な範囲で、子を懲戒できます
 職業許可権
  親権者は、子が職業を営むための許可ができます
 身分上の行為の代理権
  親権者は、民法で定められた身分上の行為について
  子の代理権を有しています。Ex.相続の承認・放棄

財産管理権の内容

 財産の管理・保存・利用・改良を目的とする行為、
  価値を維持するための処分行為を含む。
 子の財産行為の代表

3、親権者・監護権者指定の考慮自事情・判断基準親権の内容について

夫婦の話し合いによって、どちらを親権者とするかが決まらなければ、離婚をすることが出来ず、裁判所が判断をすることになります。
裁判所は、夫婦双方の事情、子の事情等、あらゆる事情を考慮してどちらが良いかを判断します。
一言でいえば、どちらを親権者とすることが、「子の福祉」、つまり今後の子の生活・成長にとって良いかを判断することになります。

<1>考慮事項

裁判所は、親権者・監護権者指定を判断する際に、以下のような事情を考慮します。
ア 父母の事情
監護に対する意欲(子に対する愛情の度合い)や監護に対する現在及び将来の能力(親の年齢、心身の健康状態、時間的余裕、資産・収入などの経済力、実家の援助等)、生活環境(住宅事情、居住地域、学校関係)など。
イ 子の事情
子の年齢、性別、子の意思、子の心身の発育状況、兄弟姉妹の関係、環境の変化による影響の度合い、親や親族との情緒的結びつきなど。

<2>判断基準

ア 継続性の原則
これまで実際に子を監護してきた者を優先させるという考え方です。
現在の養育環境で安定している親子関係を変更させることは、子の情緒を不安定にし、子の人格形成上好ましくないという理由があります。
イ 寛容性
現在、子を実際に養育している親(監護親)が、養育していない親(非監護親)からの面接交渉の要求に対して応じているか否かという視点です。
非監護親には、子と面会する権利(面接交渉権)があります。監護親が、何ら合理的理由がなく、非監護親からの面接交渉権を拒否すると、不利な事情として扱われることがあります。
ウ 子の意思の尊重
15歳以上の子に関しては、裁判所は親権者の指定につき、その子の意見を聴かなければなりません(人事訴訟法32条4項、家事審判規則72条、70条54条(家事事件手続法169条2項))。
15歳未満であっても、ある程度の年齢に達していると、その子の意思が尊重されます。
エ 兄弟姉妹不分離の原則
兄弟姉妹がいる場合に、親権者を別々にするのではなく、できるだけ一方の親が兄弟姉妹全員の親権者にしようという考え方です。親の都合で、一緒に育ってきた兄弟姉妹が離ればなれになるのは好ましくないという理由からです。
オ 母親優先の原則
乳幼児については、母親に監護させることが子の福祉に適うという考え方です。
繰り返しになりますが、以上の基準は絶対的なものではなく、「母親だから親権者になれる」ということではありません。上記の事情を総合的に考慮して、いずれの親を親権者とすることが子の福祉に適うかという観点から判断されます。

4、親権者と監護権者を分けることについて

上記の説明の中で、「監護権者」という言葉が出てきました。
「親権者」は、上述のように「身上監護権」と「財産管理権」を有しています。「監護権者」とは、このうち、「身上監護権」を有している者を指し、「財産管理権」を有している「親権者」と、「身上監護権」のみを有している「監護権者」を分けることが可能です。
親権者と監護権者とを分けた場合、普段、養育監護しているのは母であるけれども、各種手当の受給が必要になった場合、親権者である父の協力がない限り受給できないという不都合が生じます。
父母の間に信頼関係が維持されている場合には、親権者と監護権者が分かれていても問題はないかもしれませんが、信頼関係が破壊されている場合には、上記のような不都合が生じ、子に悪影響が及ぶおそれもあります。
よって、親権者と監護権者を分けることについては、上記リスクを考慮し、慎重に判断すべきでしょう。