離婚と子ども
◆面会交流について◆
1、面会交流について
面会交流とは、離婚後又は別居中に子どもを養育・監護していない方の親が子どもと面会等を行うことをいいます。面会交流権は、民法766条(別居中は類推適用)によって、認められています。
従前は、面会交流権について明確な規定がありませんでしたが、民法改正によって、民法766条に明記されました(従前も解釈によって認められていました。)。
これに伴い、離婚届用紙にも面会交流について記載する箇所が設けられました。もっとも、親権者とは違い、必ずしも離婚時に面会交流について決める必要はありません。
2、面会交流の決め方
上記のとおり、離婚時に面会交流について決める必要はありませんが、親権者とならなかった親においては、今後、親権者となる親と面会交流について穏便な話し合いができるとは限らないので、離婚時に面会交流についても決めておいたほうがいいでしょう。
面会交流の決め方は、以下のとおりです。
1、協議
双方の協議によって、面会交流の方法について決めます。
2、調停
協議が調わない場合は、調停手続を利用します。
子どもを現実に養育していない親は、子どもを現実に養育している親の住所地を管轄する家庭裁判所に、子の監護に関する処分(面会交流)の家事調停を申し立てることになります。
3、審判
調停が成立しない場合には、自動的に審判に移行します(家事審判法26条1項(家事事件手続法272条4項))。
3、面会交流の具体的方法
面会交流の具体的方法、つまりどのように子どもと接するか、どれくらいの頻度で行うか、というものは一義的に決まるものではありません。
面会交流の具体的方法は、当事者の協議で決まる場合は、その内容によりますが、審判等になった場合は、後述の要素によって決まります。
具体的な方法としては、宿泊を伴うものから、写真の送付など間接的なものまで様々です。
4、面会交流の方法を決めるにあたって考慮される要因
上記では、「面会交流権」として、面会交流が「親の子に会う権利」という書き方をしましたが、面会交流の主役はあくまで子どもです。
子どもの健全育成にとって、親と会うことが好ましいという観点から認められています。
よって、審判になった場合、面会交流の具体的方法は、子の福祉に合致するか否かという基準によって決せられます。
具体的には、「子の意思、子の生活環境に及ぼす影響、親権者の意思、親権者の養育監護への影響」等を総合的に考慮して決せられます。
このように、面会交流は、子の福祉に合致するか否かによって決せられますので、親が暴力をふるっていたなどの事情があると、間接的な方法ですら面会交流が認められないことがあります。